
2月8日(土)
子どものウェルビーイングを学ぼう 考えよう
国際シンポジウム研究大会
プログラム
子どものウェルビーイング研究者による講演、子どもシンポジウム、HPSによる発表
【基調講演】

松平 千佳
静岡県立大学短期大学部 教授
NPO法人ホスピタル・プレイ協会 すべての子どもの遊びと支援を考える会 理事長
【国際講演】

ホセ・マルケス(Jose Marquez)博士
イギリス マンチェスター大学教育研究所
オックスフォード大学ウェルビーイングリサーチセンター研究員
マルケス博士が参画する#BeeWellプロジェクトは「学業成績と同じくらい若者がウェルビーイングを感じ生きることが重要」との考えの元、展開される地域密着型プロジェクトです。心理学、経済学、教育学、社会学など複数の分野からのアプローチを積極的に取り入れた研究成果は子どもの声を集めた地域に施策提案として還元されています。#BeWellは、子どもの声をきく、子どもとともに行動する、そして子どもの幸福を祝うの3つを指針に行動を起こすプロジェクトです。マルケス博士はデーター収集に必要な調査紙の開発、参与研観察方法の提案、地域へのコンサルテーション活動を担当しています。
マルケス博士は量的データを扱う研究者であり、日本の子どもの幸福度について大きな関心を持っています。マルケス博士からは、日本の子どもの現状を学ぶとともに、子どもの意見を聞いて活動を計画することの重要性について講演していただきます。
【国際講演】

ジェニファー・カートメル(Jennifer Cartmel)博士
オーストラリア グリフィス大学 ヒューマンサービスとソーシャルワーク学部
カートメル先生は、国際的に認められた研究者であり、特に「学校外における子どもケア」や拡張教育(Extended Education)に関連した研究を行っています。
カートメル先生の研究は、子どもの社会的および情緒的なウェルビーイングと、子どもにかかわる専門職の能力開発に焦点を当てています。カートメル先生が開発した「批判的省察のモデル」は子どもサービス分野の実践を変革するために活用されています。近年、このモデルは世代間交流プログラムにおいて異なる専門職を結びつけるために利用されています。カートメル先生は、オーストラリアの学習フレームワーク「Belonging, Being and Becoming 2.0(つながり、存在、成長)」および「My Time, Our Place 2.0(私の時間、私たちの場所)」の改訂プロジェクトの主要研究員でもありました。
オーストラリアでは、子どもに関する施策を立てる際には必ずすべての子どもの意見を取り入れなければなりません。カートメル先生から、オーストラリアで子どもの声をきくために取り入れられている方法などについて学びたいと思います。
【記念講演】

Dianne Wootten
HERTFORDSHIRE COMMUNITY NHS TRUST 所属
Senior Health Play Specialist
ダイアンさんはコミュニティで働くHPS)で約40名の病児のヘルス・プレイを担当しています。重症心身障害児が約3割、約7割が抗がん剤治療(特に脳腫瘍)の子どもたちです。看取りも多く、2024年は11月末までに15名の子どもの死にゆく支援を行いました。
ダイアンさんはとても想像力/創造力のあるHPSです。想像力/創造力は効果的な在宅支援には必須の力であるそうです。特にティーンエイジャーに対する彼女の支援方法は独創的です。12歳以上の子どもたちは社会生活を営むことが多くなるため、自宅で治療するがん患児であっても、インターネットを使った仲間作りを推奨し、同じ時間にケーキ作りをし、出来栄えを見せ合うなど、子ども同士をつなげるための活動を計画しています。同じ病を患っている子ども同士、本当によく助け合うそうで、自分の闘病記を書いて、これから治療を開始する子どもたちを励ましてくれるといいます。
コミュニティで働くHPSにとって重要なことは、子どもが治療を受ける病院との連携であり、ロンドンの5病院と定期的に情報交換をしています。プレパレーションを在宅でするのか、病院でするのかなども話し合い、最期まで子どもの治療体験が豊かなものになるようにMDTチームで努力しています。
死を迎える子どもについては、必ず自宅で死を迎えるほうが良いと彼女は考えています。特に病院で死を迎えるのはよくないと言います。ホスピスならばまだよいが、やはり自宅で看取ることが子どもだけでなく家族にとっても最も自然なことであり、グリーフ(悲嘆の時期)ケアが進展しやすいと話します。
ダイアンさんから、在宅で療養する子どもたちと家族への支援の方法を学びましょう。
【記念講演】

武内 一
佛教大学 社会福祉学部 教員
スウェーデンウメオ大学 客員研究員
~島の小児医療~
私は香川県小豆島出身で、島の町立病院で小児科医として働くことを目指しました。1983年に滋賀医大を卒業後、大阪府堺市の総合病院で小児科研修を開始し、細菌性髄膜炎や白血病などの様々な重症例に取り組みました。
1995年、小豆島に戻り、町立病院小児科にて4年間勤務しました。
~医療は患者と共にある~
再び堺の病院に戻った後、Hibワクチン導入の必要性を痛感し、ある親子との出会いが契機となり、患者家族とともに「細菌性髄膜炎から子どもたちを守る会」を設立することとなりました。署名活動や関係団体との交渉を経て、2011年にHibワクチンと肺炎球菌ワクチンが公費接種化、続いて2013年に定期接種化が実現しました。この経験を通して「医療は患者と共にあらねばならない」と確信しました。
~社会小児科学~
髄膜炎ワクチン普及活動から、貧困や格差が子どもの未来に与える影響を考えるようになり、2009年から大学で教鞭をとり研究に従事するようになりました。子どもの貧困に関する情報発信やスウェーデン・ウメオ大学での学びを通じて、国際的視点で子どもの権利保障を認識する重要性を実感しています。現在は「社会小児科学」として医療と社会福祉の関係を研究し、COVID-19禍の子どもたちの権利保障にも取り組んでいます。
~「ありたい」「なりたい」未来~
人との出会いが人生を紡ぎます。偶然の出会いが未来を豊かに広げることを信じ、皆さんも自分の
「ありたい」「なりたい」姿を大切にしてください。
【こどもシンポジウム】
当事者である子どもたち